ヤマザキが使用再開した臭素酸カリウムの危険性は?どのパンに入っているの?【添加物徹底解説】

疑っている男性
疑いの目
山崎製パンが、臭素酸カリウムの使用を再開したって。
大丈夫?なぜ使い始めたの?

食品添加物について勉強していると、様々な情報が目に入ります。

それが正しいのか間違っているのか判断するのはとても難しいです。

特に目にするのは「臭素酸カリウムの危険性」についてです。

臭素酸カリウムは、パンに使われる添加物です。

臭素酸カリウムは、海外でも禁止されていることから、消費者の間でも「危ない添加物」として認識されています。

そんな中で、山崎製パンは臭素酸カリウムの使用を再開したそうです。

それは、いったいなぜなのか。

この記事では、臭素酸カリウムの危険性と使用再開の理由について解説します。

 筆者の情報

無添加の森運営人無添加の森管理人:yama
・持病(アトピー)改善のため、無添加生活を継続中
・日々、添加物について猛勉強中
・食品を買うときは、どこよりもまず裏を見る習性アリ

 お急ぎの方に、先にまとめを出しておきます。

名称臭素酸カリウム
分類指定添加物
用途パンの品質向上
使用例パン
安全性物質自体は危険
発がん性あり
身体への影響発がん性がある
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臭素酸カリウムとは?使うメリットは?

パンに臭素酸カリウムは使われる

そもそも、臭素酸カリウムとは、厚生労働省が定める指定添加物の一種です。

主な使用例は、パン。以上です。

臭素酸カリウムを使うメリットとして、以下が挙げられます。

・パンの食感をよくする

パンの発酵段階に臭素酸カリウムを添加することで、生地の伸展性(伸びやすさ)を向上させることが出来ます。

同時に、パンの容積も拡大するので、ふんわりとしたパンの食感を得ることが出来ます。

臭素酸カリウムを使う理由として、「コストを下げるため」、「大企業と国のつながり」などの陰謀論的なものまで噂されています。

臭素酸カリウムは一時期入手困難になっていたことから、コスト面で利益を与えるとは考えにくいです。

陰謀論的なモノは言わずもがなでしょう。もちろん、肯定も否定もできる根拠はありませんが。それだけ妄想に近いような考えだということです。

ということは、臭素酸カリウムを使う理由は、パンの食感を向上させるためということが考えられます。

臭素酸カリウムの危険性は?海外ではどう?

疑っている男性
疑いの目
結局、臭素酸カリウムは危険なの?
さて、気になっている方も多いと思います、危険性について。

まず、臭素酸カリウムは、IRAC(国際がん研究機関)では、グループ2Bの「ヒトに対する発癌性が疑われる (Possibly Carcinogenic)」に分類されます(IARC発がん性リスク一覧)。

ひとまず臭素酸カリウム自体には発がん性があると考えてよいでしょう。

また、動物実験の結果からも、「遺伝毒性発がん物質」であるという結果が得られています。

遺伝毒性発がん物質・・・物質や化学反応によってDNAなどが損傷することで、発がん性などの病変を引き起こす可能性がある物質。

海外の規制の現状

これらの報告を受け、現在では、イギリス、ドイツをはじめとしてEU諸国、カナダ、ブラジル、ナイジェリア、中国など、海外諸国で使用が禁止されています(参考:臭素酸カリウムについてのQ&A)。

また、FAO(国際食糧農業機関)とWHO(世界保健機関)の合同食品添加物専門家委員会(1995年)では、「臭素酸カリウムの小麦粉処理剤としての使用は容認できない」という結論が下され、現在も結論は変わっておりません。

アメリカでは、使用禁止とまではいかないものの、使用した場合は警告のようなマークを明示する必要があります。

このような海外諸国の現状から、臭素酸カリウムを危険視するのは当然の流れだと思います。

日本の規制の現状

一方、日本ではどうでしょうか。

現在の日本では、食品衛生法によって、以下のように定められています。

・臭素酸カリウムをパンの製造以外に使ってはいけない
・使用料は、小麦粉1kgに対して0.039g以下でなければならない。
・製品完成時に、除去or分解されていなければならない。
(参考:臭素酸カリウムについてのQ&A )

製品中の残存の関しては、検出限界を0.5ppbとする高精度の分析法によって定められています。

検出限界というのは、簡単に言うと「発見できる最低の濃度」です。

つまり、検出限界が低ければ低いほど微量でも検出されるということです。

0.5ppbとは、0.00000005%のことです。恐ろしく小さな値です。

ここまでの厳しい規制に加えて、「臭素酸カリウムは発がん性がある危険な物質」という情報が消費者の常識と化した結果、臭素酸カリウムを使うメーカーは次第に減っていきました。

しかし、2020年、山崎製パンは、再び臭素酸カリウムを使うことを発表しました。

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ヤマザキはなぜ使用再開したのか

1995年のFAOとWHOの合同会議の結論から、国内のパンメーカーは使用自粛を余儀なくされていました。

その後、規制強化と批判を繰り返して、2004年に規制が厳罰化した後にヤマザキは使用を再開しました。

しかし、次第に臭素酸カリウム自体の入手が困難になり、2014年以降は使用を取りやめていました

そして、2020年、ヤマザキは再び使用すると公表しました。

いったいなぜなんでしょうか。

そもそもなぜ臭素酸カリウムを使えるのか

無添加の森のおさるさん
それは、もちろん厳正な使用基準を満たしているからです。

この使用基準を満たすまでに、山崎製パンはアメリカの研究機関などと協力して高精度な分析法を確立したそうです(参考:山崎製パン | 小麦粉改良剤「臭素酸カリウム」による角型食パンの品質改良について)。

その結果、科学的に安全であるとみなされて、使用できることになったのです。

その証拠に、残存量が0.5ppb以下だった「角型食パン」にだけ使用すると公表しています。

2020年に再び使用開始したことのはっきりとした理由は公表されていません。

恐らくは臭素酸カリウムが調達できるようになったか、消費者に対して風通しをよくするためであると私は思います。

公表してくれた方がすっきりしますよね。

ともかく、食品安全委員会が認めているのはもちろん、科学的根拠に基づいて「安全」と言えるのです。

なので、「臭素酸カリウムを使うなんてありえない」というような意見は、扇動的なメディアの情報前時代的な知識を信じすぎてるだけかもしれません。

山崎製パンが公表している論文はコチラです↓
臭素酸カリウムの製パンにおける有効性と安全性の確認

臭素酸カリウムはどのパンに入っている?

臭素酸カリウム不使用の食パンとは?

そうは言っても、気になる方はいると思います。言ってしまえば「リスクが0%ではない」ですし、化学物質であることに違いはありません。

不安な方や化学物質に敏感な方は、臭素酸カリウムを使っていないパンを選べばいいのです。

山崎製パンは、以下の商品で臭素酸カリウムを使用していると公表しています。

(1)「 超芳醇」、「特撰 超芳醇」、「超芳醇(塩分50%カット)」、「超芳醇ゴールド」
(2)「モーニングスター」*北海道地区は除く
(3)ランチパック用食パン(全粒粉食パンは除く)*北海道地区は除く
(4)ヤマザキブランドのサンドイッチ製品に使用される角型食パン(全粒粉食パンは除く)*北海道地区は除く

引用:小麦粉改良剤「臭素酸カリウム」による角型食パンの品質改良について

気になる方は、これらを控えればよいでしょう。

山崎製パンは、臭素酸カリウムを使用する理由として「美味しくするため」と言っています。

「どうしても食べたい!」って人は、何の心配もなく食べていいと思います。

無添加主義さん
それでも、私は気を付けたい!
減らせるリスクは減らしておきたい!

そんな方は、臭素酸カリウム不使用を公表しているメーカーのパンを選ぶと安心かもしれません。

私が調べたところ、臭素酸カリウムを使っていないと公表しているメーカーは以下の通りです。

・Pasco(敷島製パン)
・COOP(生協)
・フジパン
・神戸屋

他にも、ほとんどのパンメーカーは臭素酸カリウムを使わず、代替となるビタミンCを使っているそうです。

ちょっと情報が多すぎてこんがらがってきましたね。

実は、スーパーやコンビニで、値段もあまり変わらずに無添加のパンを買うことが出来ます

よくわからん!って人は、無添加パンを買うことをオススメしますよ!

こちらの記事では、スーパーやコンビニで手軽に買える無添加の食パンを紹介しています!↓

まとめ

さて、臭素酸カリウムについて解説しました。

以下、まとめです!

・臭素酸カリウムは、パンに使われる。
・海外では禁止されている国が多いが、日本では厳しい規制の下で使用が許可される。
パンメーカーのほとんどは臭素酸カリウム不使用を公表(ヤマザキは使用を公表)。
・少しでも気になる人は、無添加パンを選ぶとよい

ここまで読んでいただきありがとうございます。

ではまた。

※この記事は、以下の論文・サイトを参考に執筆いたしました。

論文
臭素酸カリウムの製パンにおける有効性と安全性の確認
臭素酸カリウムの発がん性について

サイト
山崎製パン | 小麦粉改良剤「臭素酸カリウム」による角型食パンの品質改良について (yamazakipan.co.jp)
臭素酸カリウムについてのQ&A (jccu.coop)
遺伝毒性概要 | 国立医薬品食品衛生研究所 安全性生物試験研究センター 変異遺伝部 (nihs.go.jp)

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